色彩の心理学的効果
2019年03月13日 15時44分
「白衣」というだけに、現在にいたるまでメディカルウェアの色は白が主流です。
しかし、近年はブルーやグリーン、ピンクなど多様な色合いのメディカルウェアが登場してきました。
スクラブが普及してからは、この流れはいっそう顕著です。
ただ単にカラフルだったり華やかだったりするファッション上の意味だけではなく、「色」は人の心理に影響する効果を発揮しています。
例えば中華料理店その他の飲食店は、赤を基調とした塗装をほどこしている場合が多いのです。
これは、赤色に食欲を高める心理学的効果があるからです。大昔から、人びとはこれを経験的に知っていて、赤い塗装を選んでいたのですね。
医療の場面でも色彩面での工夫はなされています。
メディカルウェアの色についてはもちろんですが、病院・クリニックの待合室、診察室、病室の内装の色合いについても、深く考え抜かれています。
各種業態向けのカラーコーディネーションを専門に請け負う会社もあり、
医療機関がこうした会社にコンサルティングしたうえで塗装工事を行うことも珍しくありません。
そこで、さまざまな「色」が持つ心理学的効果を、ざっと見ておきましょう。
その効果は、時代や文化圏によって多かれ少なかれ変わる部分もありますが、ここでは現代日本ないし欧米というくくりで見ていきます。
・白
善良、無垢、清潔な印象。実際よりも物を軽く感じさせる。始まりを感じさせる。汚してはいけないと思わせる。気分の一新。広がりを感じさせる。
・黒
夜、闇、悪、死の印象。実際よりも物を重く感じさせる。強さ、圧力、権力などを感じさせる。高級感。暗い気持ちにさせる。
・灰色
あいまい。穏やかで控えめ。落ち着いた印象。物事を受け容れやすい。忍耐強い。
・赤
活力にあふれ前向きな気持ちにさせる。熱、熱さ。食欲を昂進させる。時間経過を早く感じさせる。目を惹き、注目を集める。
・青
集中力を高める。食欲を抑える。興奮を抑え、リラックスする。時間経過を遅く感じさせる。睡眠を促進する。
・緑
心身の疲れをいやす。目の疲れを休ませる。鎮静作用があり、緊張をリラックスさせる。穏やかな気持ちになる。
・黄色
集中力を高める。判断力、記憶力を高める。注意を喚起する。明るい気分になる。
・オレンジ色
食欲の増進。陽気な気分になれる。エネルギーと解放感を与える。力を蓄えポジティブな気分にする。
・ピンク
幸福感を感じ、やさしい気持ちにさせる。心身が若返る。安らぎを感じる。かわいい。
・紫色
感性を豊かにする。性的な感覚を引き起こす。緊張や不安をいやし、穏やかな気持ちを与える。心身の回復をうながす。
・茶色
安定感。緊張の緩和。堅実さ、信頼感。歴史や伝統を感じさせる。堅実な事業の継続。
このように、「たかが色」とは言っても心理学的には深い意味合いを持っているのです。
各社がリリースしているメディカルウェアのカラーバリエーションも、上記のような色彩の効果を考えれば、その意味合いがわかってくるのではないでしょうか。